Salesforceで不動産ビジネスを加速!成功事例から学ぶDXの秘訣 2025年07月17日

今日の不動産業界は、アナログな業務プロセス、顧客情報の分散、そして営業効率の低さといった、さまざまな課題に直面しています。物件情報の管理から顧客対応、契約手続きに至るまで、手作業や個別のシステムに依存しているケースが少なくありません。そこで本記事では、実際にSalesforceを導入し、ビジネスを加速させた企業の成功事例を解説していきます。
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不動産業界が活用する領域とSalesforce製品
不動産業界でSalesforceは多岐にわたって活用されています。活用領域は、顧客管理以外にも営業支援やマーケティング、アフターサポートといった顧客サービスまで幅広いです。またSalesforceは、オフィス、ビル、住宅、駐車場といった様々な事業の業務に適用ができます。
具体的には、以下のような領域でSalesforceの各製品が活用されています。
顧客管理・営業支援(製品:Sales Cloud)
顧客の希望条件、与信情報、契約情報といった顧客情報の一元管理が可能です。さらに不動産の物件情報の登録もできますので、顧客と物件の入退去管理に活用できます。発展した
営業支援では、顧客とのやり取り(電話、メールなど)やモデルルームの案内・来場履歴を管理することで商談進捗も管理することができます。
さらにSalesforceの自動化によって、承認プロセスや契約更新日前のリマインド通知、契約完了後の関係者自動通知などが営業支援として活用されています。
さらに顧客とのやり取りを記録するために、Salesforceはオムニチャネル連携(電話、メール、SNSなど)が可能です。
マーケティング(製品:AccountEngagement、Marketing Cloud)
SalesforceのAccountEngagementやMaketingCloudでは、反響の獲得から取得した顧客データを活用して、パーソナライズされたマーケティング活動まで行うことができます。不動産購入など検討期間が長い顧客は、シナリオに基づいた自動追客でマーケティング活動を効率よく行うことができます。また、メール配信では顧客情報に基づいて配信コンテンツを変えるパーソナライズができます。エリアの希望条件が顧客情報に登録されている場合は、エリア希望条件ごとにリンクURLを変えることができますので、メールのクリック率を高めることも可能です。
顧客サービス(Service Cloud)
迅速かつ的確なサポートを提供します。住まいの相談や各種顧客からの問い合わせや要望を一元的に管理することができます。電話、メール、チャット、SNSなど、オムニチャネル対応ができるため、顧客満足度の向上とブランドロイヤルティ構築ができます。FAQやナレッジサイトの構築ができますので、対応業務の工数削減に役立てることが可能です。
拡張領域
これまで紹介した領域とSalesforce製品以外にも不動産で活用できる拡張領域があります。以下も不動産で活用された例として参考にしてください。
活用領域
製品
活用例
データ分析・BI
Tableau
複雑な反響分析や不動産取引情報の分析や見せ方をしたい場合に利用します。
反響住所の地区別の来場・契約歩留を可視化することができます。
基幹システムのデータと統合も可能です。
あらゆるデータソースからの統合
DataCloud
Salesforce内外のあらゆるチャネルからの顧客行動、属性データ全般を統合します。
統合することで単一の顧客プロファイルを作成し、高度な分析、セグメンテーション、リアルタイムのパーソナライズされた施策が実行できます。
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不動産業界でSalesforce導入に成功した事例
株式会社sumarch
課題
- 売上が伸び悩み、営業赤字を経験。
- 社内ツールは、メールとExcelのみで営業活動やノウハウの情報共有がされない
- 新卒採用者の離職があり、人材定着に課題
- 集客方法が紙媒体のポスティング中心で、効率が悪く、高コストでした。
- 獲得リードの成約率が営業担当者によって大きくばらつく
活用方法
- データ入力でSalesforceに蓄積し、データを見える化
- インサイドセールスを立ち上げマーケティング活動をAccount Engagementで運用
- 成約顧客とのチャットグループをSalesforceで作り、コミュニケーションを円滑化
- Salesforceに蓄積された各種経営データや不動産在庫データを銀行に開示し、信用を獲得
導入後の成果
- 毎年売上が20~30%増大し、粗利も20%増大し続けています。
- 5期連続で平均昇給率10%増を実施し、社員の給与が高水準になりました(平均29歳営業職で830万円、平均32歳営業管理職で1,200万円程度)。
- 社員のモチベーションが高まり、離職率が低下しました(2020年以降1割程度、管理職はほぼゼロ)。
- 導入後1年で営業赤字を脱却し、新人の年間手数料実績が2倍以上に増加しました(800万円から2,000万円へ)。
- 宅地分譲において取引データに基づき販売価格を判断・管理することで、長期在庫がほぼない状態を実現しました。
- 集客のコスト効果が5倍に上昇し、営業1人あたりの商談件数も10件を超えるようになりました。
- 獲得リードの成約率が安定しました(約30%)。
- 顧客とのコミュニケーションが円滑化し、トラブル軽減。
株式会社アイネスト
課題
- 情報管理が個人に依存しており、情報の所在が不透明
- 案件進捗や営業成績がリアルタイムに把握することが困難
- ベテラン営業ノウハウの再現性がなく、若手社員への継承文化がない
- 営業過程の活動に対する評価体制の不備
- 仕入部門がベテラン社員中心で、会社の持続可能性に課題
活用方法
- 情報の一元化を実現し、「情報を掴むためにはSalesforce内のデータを見るべき」という状態を構築
- Salesforceのチャット活用で、社外でも社内情報が把握できるように
- チャットの「いいね」や「コメント」を活用し、社内コミュニケーションを活性化
- 日々の営業活動記録をSalesforceに残すことで、営業活動の集計・分析を可能に
- 入力必要なデータは、入力規則によってデータ管理の品質向上
導入後の成果
- 情報管理の一元化と社内共有に成功し、若手社員も必要な情報をいつでもどこでも把握できるようになった。
- 無駄な出社や帰社を減らし、効率的なリモートワークへの移行が実現しました。
- Salesforceのチャットにより、社内にいなくても業務に支障なくフルリモートワークが可能になり、社内コミュニケーションが活性化
- 情報蓄積による営業活動の分析が可能になり、実績だけでなく活動の過程も可視化できる仕組みが実現
- 活動過程の分析結果から得たノウハウを若手社員に伝達できる仕組みが実現し、ベテラン営業ノウハウの伝達が可能になりました。
グローバルベイス株式会社
課題
- 情報管理が紙面やExcelに分散しており、情報の精度に問題がありました。
- 旧顧客管理システムが実業務と乖離していたため、定着されなかった
- 既存データを可視化・数値化するための分析ツールがない
- 口頭ベースの営業報告や、個人の経験と感覚に依存する属人的な営業スタイルが根付く
活用方法
- 複数のシステムやExcelに分散していた情報をSalesforceに集約
- 顧客データ、営業スケジュール、各種資料管理、チャットによる情報共有までSalesforceに統合
- レポート・ダッシュボード機能で、様々な数値を多角的に集計・分析
- 物件データをより詳細かつ正確に管理できるようにカスタマイズ
- ログインの習慣化を目指して、成績管理やグループウェアを組み込み「使わざるを得ない状況」を設計。
導入後の成果:
- 全営業業務がSalesforce上で完結し、生産性・マネジメント効率が向上
- 反響に対するアポイントの取得率が2倍強に増加
- 物件データの緻密な管理が可能になり、長期在庫を20〜30%削減
- データの一元管理により、営業の意識改革とキャッシュフローの最適化に効果を発揮。
- 経験と感覚に依存していた営業スタイルが、データに基づいたロジカルな提案へと一変
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Salesforce導入を成功させるためのポイント
Salesforceの導入は、単なる顧客管理だけではなく、業務プロセスや組織文化を変えることができます。効果を最大化させるための導入を成功させるポイントを解説していきます。
明確な目的設定とゴール共有
何のためにSalesforceを導入するのか、どのような課題を解決したいのか、最終的にどのような状態を目指すのかを具体的に定義しましょう。可能な限り具体的にしておく方が良いですが、atsumelの「Salesforce導入サポート」では目的や課題整理、実現性など要件定義のサポートをさせていただきます。
段階的な導入とスモールスタート
一度にすべての移行をする場合は、現場の混乱を招き、定着が難しくなる場合がありますので、場合によっては、必要最小限の機能からスモールスタートで導入することも考えましょう。どのくらいの段階導入がよいのか、一気に導入した方が良いのかは、過去の事例から当社が回答いたします。
社内でのSalesforce活用推進と定着化
Salesforceは導入して終わりではないため、社員が日常的に使いこなし、ビジネスに活かす体制を構築する必要があります。新しい人が入ってきた場合のトレーニングや、Salesforce 推進者の育成、定期的な情報共有など、社内での活用を促進するための施策が必要です。
サポート体制の重要性
導入時だけでなく、運用開始後の改修や活用がすぐにできるわけではありません。定着に不安がある場合は、Salesforceの専門家によるサポート体制の確保を検討しましょう。導入後に発生する現場の要望に対して、迅速な環境を構築することができます。継続的なサポートはatsumelの「salesforce運用・保守サポート」をご検討ください。
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まとめ
本コラムでは、Salesforceの不動産業界における具体的な導入事例と活用領域を説明しました。不動産業界にありがちなアナログからの脱却や顧客情報の一元化、そしてデータに基づいた戦略的な意思決定は、会社の発展に不可欠です。ぜひ、Salesforceの導入を前向きに検討し、貴社のビジネスを新たなステージへと引き上げましょう。事例の詳細や導入にあたっての相談はatsumelのSalesforce導入サポートまでご相談ください。