なぜ変革できた?Salesforceを中心とした組織文化を創る方法
- COMPANY PROFILE
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会社名 非公開 事業内容 不動産の売買仲介 所在地 非公開 従業員数 非公開 webサイト 非公開
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課題
- 多様な管理方法によって分散した情報
- 不透明な案件進捗と活動状況
- システム移行するも、活用されないデータ
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導入効果
- 顧客情報、物件情報から活動状況までを一元管理
- データが可視化したことによる気づき、そして営業活動への活用
- 透明性の高いSalesforce中心の組織の確立
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導入の経緯
- ”システムを使用すれば上手くいく”訳ではなかった情報管理やデータ分析
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北陸地方に位置する不動産仲介会社のR社は、そのエリアで数多くの取引実績を有する地域に根付いた会社だ。しかし、社内における情報管理や営業データ分析といった面では課題を多く抱える状況であった。
もともと、顧客や物件に関する情報は旧システムで管理を行っていた。顧客から問い合わせがあると、営業は旧システムで情報を確認しながら対応していたが、起動までに時間がかかり、電話対応に支障をきたしていた。また、アポイントの予定やタスクは旧システムではなく個人での管理だったため、上司が部下の活動状況を把握することが難しかったという。
この状況を打破するため、Salesforceを導入した。組織としてシステムで情報管理を行う態勢は身についていたため、システム移行自体は抵抗がなかった。だが、登録した情報を可視化したり、分析をして戦略を練ったりするという点においては習慣化されていなかった。この点に加え、可視化の形式や運用が定まっていなかったこともあり、不良なデータも散在するようになっていた。結局、Salesforceに移行をしてもデータをうまく活用できず、担当営業に都度状況を確認するという悪習を改善することができなかった。
その中で、Salesforce改修の声が上がった。既存環境の課題点を洗い出し、理想的な活用ができるようにプロジェクトが動き出したのだ。このタイミングでマーケティング施策に力を入れる動きもあり、同時にインサイドセールス部門の立ち上げも行われた。加えて、不動産業界に特化して導入支援を行い、自社でのインサイドセールス立ち上げを経験したatsumelもプロジェクトに加わる事となり、新たなSalesforceの革新に踏み出した。
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導入後の効果
- 情報の可視化による営業活動への活用と高品質なサービス提供を実現
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Salesforceを改修し、著しく改善されたのは情報の可視化だ。レポートやダッシュボードを活用するようになり、今まで潜在化していた実績数値や活動量を把握することができるようになった。「一週間でメールを送った数や電話をした数など、社員ごとに活動量の違いが分かるようになりました。最近、活動量が少ないなというのも一目で分かります。あとは、成約した物件の種別を一覧化することで得手不得手があるのかもなという気づきもありました」とSalesforce改修に携わったインサイドセールスのN氏は語った。営業戦略を練り直す上でもこの可視化された情報が活かされており、今では追加提案からの売上も向上してきたようだ。
そして、Salesforceの改修と同時に立ち上がったインサイドセールスによる効果も絶大であった。大きく営業フローは変わったが、当時atsumelで実施していたコンサルティングの成果もあり、社内での役割を確立させることに成功した。発足までは営業が朝にメールを確認し、担当物件への問い合わせに対応する追客スタイルであったが、この部分をインサイドセールスが担当することで、追客漏れをなくし、まんべんなく顧客をフォローすることができるようになった。その上、Salesforce内には電話やメールの追客履歴が記録され、顧客とのやりとりが見えるようになったため、誰かが対応してくれているかもという行き違いを減らし、サービス品質が改善された。結果、アポイント数はインサイドセールス導入前から約1.8倍増加し会社に大きく貢献している。
さらに、理論的なマネジメントが実現できるようになったことはまさに大きな効果といえるだろう。レポートやダッシュボードで細部まで可視化されたことにより、目標に対して伸び悩む営業の不足している部分がわかるようになっている。また、商談前後のアクションが分かる状態になり、『顧客育成のために次に働きかけることは何か?』を導きやすくなったという。Salesforceの改修をきっかけに透明性の高い組織へと進化を遂げた。
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運用のポイント
- ルールを定め、Salesforceを中心としたコミュニケーション体制を確立
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過去にシステム導入や改修を経験した同社がここまでSalesforceを活用できるようになったのには、2つのポイントがある。
まず、運用ルールをきちんと定めていることが1つ目のポイントである。例えば、ダッシュボードを毎日朝礼と終礼で必ず全員で確認したり、月末の報告会に向けて最新のデータが正しく入力されるよう入力・更新漏れが分かるレポートを確認したりというルールを敷いている。また、インサイドセールスを起用する会社では、フィールドセールスとの連携に課題を抱えることが多い中、同社は円滑な運用を行っている。「1つのオフィスで隣同士で働いているので、顔を合わせて話したり資料のやりとりを直接したりしている点があげられるかと思います。あとはやっぱりSalesforceなんですが、商談が終わると結果の登録を営業にしていただいています。漏れがあるとレポートに表示されるようになっているので、チーム全体で商談の情報を確認できる土壌ができているんじゃないかなと思います」とN氏は語った。
2つ目のポイントは、Salesforceの推進リーダーとして意見をしっかり吸い上げたことだ。N氏は「Salesforceの活用については会社全体で前向きかなと思います。考えて設計していかないとデータベースとして機能しなくなってしまい、結局取りたい数字が取れないこともあるかと思います。なので、上からの指示だけでなく下からの意見も吸い上げて運用の方法を考えています」と言う。現場からの使いにくい、困るといった声は随時吸い上げ、Salesforceを改修するのか、それとも運用でカバーをしていくのかを調整しながら利用してきた。これにより、課題を即時に解消し、全社員が同レベルで活用できる体制を築き上げた。
Salesforceを定着化させていくために重要なポイントを抑えて運用している点が、Salesforce中心の組織文化を創ってきたといえる。
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今後のビジョン
- さらなるデータドリブンな組織づくりを目指して
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今後、多店舗展開をしてきたいとの意欲を見せてくれた同社。その際は、よりSalesforceが重要になってくると考えていた。顧客が店舗をまたいで来店しても、その履歴を組織全体で情報共有することができ、活用シーンも広げていけると感じているようだ。また、蓄積されたデータをより分析できるような仕組みを整えていきたいとも考えている。例えば、営業ひとりひとりの強み・弱みを分析したり、顧客の活動履歴をもとにニーズに合った育成方法を考案したり、広告媒体ごとの費用対効果までSalesforce内で完結できるようにしたりすることだ。
N氏は「atsumelさんとの打ち合わせの中で、そんなこともできるの?という驚きがありました。KPIなど、さらに踏み込んだ分析ができるように今後もご教示いただきたく思います」と弊社への期待を語った。