岡山県倉敷市に本社を構える株式会社ナッシュ。世界初のデニムスーツ専門ブランド「inBlue」を2007年に立ち上げた。2008年には路面店をオープンし、現在では全国各地でオーダー会を開催しながら、多くの人に愛されるブランドまで急成長した。
　順調に企業成長していく一方で、日々の問合せ数が増加し、顧客に対しての返信が遅れてしまうことや、スタッフによって回答する内容にバラつきがあることに課題を感じていた。
　事業部長の松岡氏は「私たちの顧客は75%が県外のお客様で、2着目以降も継続的に購入していただくお客様が非常に多いです。その強みを最大限に活かすためにスタッフ一同努めていますが、電話での問合せ業務と店舗接客を並行して行っているため、十分な対応時間を確保できないケースがあります。これらを解決し、接客時間の確保や顧客満足度を向上させるために、顧客が自分自身で疑問点を解消することができるEinstein botの導入を決定しました」と語った。

今回の導入で1番期待している効果は、ECサイトの中でオーダースーツを安心して購入できる体制を構築することにあるという。　　
当社の顧客は、他県の経営者や会社役員をされている多忙なお客様が多いため、購入を希望するタイミングで倉敷に来ることは難しいというお声をいただくことがあるそうだ。この悩みを解消するためにECサイトをオープンしたものの、平均15万円程する高級スーツをECサイトで購入いただくのは顧客にとってもハードルが高いという。　
　松岡氏は「1人でも多くの人にinBlueをお届けするために、リモートで採寸し、サンプルを送って顧客に購入していただく取り組みをスタートしました。これに加えて自動チャットボット機能を活用することで、疑問点をすぐに解消できる環境の整備。有人チャットを通して、個別で発生する問題点を解消し、スーツを安心して購入できるEC接客を実現していきたいです」と今後の展望について語った。

松岡氏はEC事業の拡大に向けて、運用においては「有人チャットを活用したリレーション強化」」と「チャットボットのブラッシュアップ」が重要だと考える。
　「有人チャットを活用したリレーション強化」」については、口頭で話す時より文章だと冷たく伝わってしまうことが多いため、文章表現の仕方や対応手順などをマニュアル化し対面と変わらないと印象を持っていただける状態を実現したいという。
　「チャットボットのブラッシュアップ」を実現するために、今回構築した自動チャットの文章は現場の状況を聞きながら、定期的に最新の状態にアップデートをしていく。また、有人チャットで得た情報や顧客から日々いただく質問内容についても追加でEinstein botに実装し、カバーできるサポート範囲を広げていく構想だ。
　今後は若手スタッフも採用をしていく予定のため、まずは有人チャットで顧客対応に慣れてもらい、その後、店舗営業を担当するというキャリアパスを整えていきたいと語った。

当社は店舗での1着目の単発購入よりも、2着目以降の継続的な購入に向けて顧客のエンゲージメントを高めていくことが大切だと考える。2着目を購入したいけどサイズを変更したい、トレンドのデザインは何があるのかなど、細かな疑問をチャット機能で解決し、安心して購入できるECサイトを構築することを目指しているという。最終的には、倉敷まで足を運べない新規顧客の機会損失を防ぎ、ECサイトで高級オーダースーツが売れる時代を作ることを目指している。
　最後に「今回の導入プロジェクトの中でatsumelさんは依頼した内容だけでなく、より良くなるように新しいアイディアを提案してくれました。自分自身が想定していたよりも中身の濃い環境を1ヶ月で構築することができ、とても満足しています」と松岡氏は語った。