Salesforce API連携ガイド|料金体系から実装手順を徹底解説 2026年04月22日
システム開発やデータ連携にAPIを活用することで、異なるシステム同士のデータ連携や業務の自動化を行うことができます。
データ入力の文脈で言えば、片方が入力されたタイミングでもう片方にデータを同期させることで二重入力を防ぐことがAPIにはできます。
様々な方法で活用されてきたAPIについて、今回はSalesforceにおけるAPI連携方法や料金、データ取得手順を解説していきます。
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Salesforce APIとは?連携で広がるビジネスの可能性
API(Application Programming Interface)とは、異なるシステム同士をつないで機能やデータを活用するための仕組みのことを言います。APIによって異なるシステムからデータを取得して、リアルタイムでデータを同期させることができます。またAPIで取得したデータを元にしたアプリケーション開発にも活用されており、様々なシーンでAPIは活用されています。
SalesforceのAPI連携でできること
Salesforceには様々な役割を持つAPIが存在しており、Salesforceと他システムのデータ同期やデータ連携によって業務効率化を行うことができます。
例えば、以下のようなことがAPI連携によって実現することができます。
- 外部システムとのデータ同期による「二重入力」の撤廃。
- リアルタイムな在庫管理・売上分析の自動化。
- SlackやBIツールとの接続による情報の透明化。
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目的別で分かるSalesforce APIの種類とカテゴライズ
12種類のAPI
Salesforceには様々なAPIが用意されていますが、どんなAPIがどういった目的で使えるか確認していきましょう。まずは12種類のAPIを表で紹介します。
API 参照名 API 種別 データ形式 通信 REST API REST JSON, XML 同期 SOAP API SOAP (WSDL) XML 同期 Connect REST API REST JSON, XML 同期(写真の処理は非同期) Apex REST API REST JSON, XML, カスタム 同期 Apex SOAP API SOAP (WSDL) XML 同期 Analytics REST API REST JSON, XML 同期 User Interface API REST JSON 同期 GraphQL API GraphQL JSON 同期 Tooling API REST, SOAP (WSDL) JSON, XML, カスタム 同期 Bulk API 2.0 REST CSV 非同期 Metadata API SOAP (WSDL) XML 非同期 Pub/Sub API gRPC, プロトコルバッファ Binary 非同期 参考:公式「Salesforce API」
目的別で選ぶAPI
これらのAPIの中で、どれが最適なAPIか選択できるようにしましょう。自身に必要なAPIを探せることで、開発コストの削減やパフォーマンス向上に近づくことができます。ここでは主要なAPIを4つのカテゴリーに分類して解説します。
① 標準データ操作系(リアルタイム・汎用)
外部システムからSalesforceのレコードを1件ずつ、あるいは少数程度のデータをリアルタイムに参照・更新する場合に使用します。
API 参照名 特徴 用途 公式ヘルプ REST API HTTPプロトコルに基づいた、最も主流なAPIです。SalesforceのエンドポイントにHTTP要求を行い、様々な操作を行います。 外部サイトのフォーム入力内容を即座にリードとして登録するなど。 REST API 開発者ガイド SOAP API XMLベースの厳格な型定義(WSDL)でAPI連携を行います。古い基幹システムや、エンタープライズ向けの銀行システムなどの堅牢な連携が求められる環境で利用されることが多いです。 ERP(基幹系システム)とのバッチ処理や、厳密なデータ整合性が必要な連携。 SOAP API 開発者ガイド GraphQL API 最新のクエリ言語。一度のリクエストで複数の関連オブジェクトに必要なフィールドが取得できます。 通信量を抑えたいモバイル開発や、複雑なデータ構造を一度に表示したい画面開発。 GraphQL API 開発者ガイド ② 大量データ・定義操作系(一括処理・管理)
数万件を超える大量データの操作で非同期処理を必要とする場合や、Salesforceの設定そのものを操作する場合に使用します。Salesforceの設定はmetadataの範囲で操作が可能です。
API 参照名 特徴 用途 公式ヘルプ Bulk API 2.0 大量データの読み込み・書き出しに特化しており、バックグラウンドで非同期に処理されます。通常のAPIよりもガバナ制限(リクエスト回数制限)の消費を抑えられます。 数十万件の顧客データの移行、夜間の基幹システムとの一括同期。 Bulk API 2.0 開発者ガイド Metadata API 「レコード」ではなく、オブジェクトの定義、ページレイアウト、権限セットなどの「設定(メタデータ)」を操作します。 開発環境から本番環境への設定のデプロイ(移行)の自動化。 Metadata API 開発者ガイド ③ 独自カスタマイズ(Apex開発)
標準APIでは実現できなかったり、Salesforce標準的な機能を駆使したノーコード開発が難しい場合に独自のカスタマイズをAPIとして公開したい場合に使用します。
API 参照名 特徴・用途 公式ヘルプ Apex REST API Apexで独自のエンドポイントを作成。複数の処理を1回のアクションにまとめて実行できます。複雑なビジネスロジックをカプセル化して外部から呼び出す際に非常に有効です。 Apex REST 開発者ガイド Apex SOAP API 独自ロジックをSOAP形式で提供。特定のインターフェースが指定されている外部連携や、既存のSOAPベースのインフラとの親和性が必要な環境で利用されます。 Apex SOAP 開発者ガイド ④ 特定機能・ツール特化
特定のプロダクト機能や、開発効率を高めるためのAPIです。
API 参照名 特徴・用途 公式ヘルプ Connect REST API Chatter、CMS、B2B Commerce、Experience Cloudなど、特定のコミュニティ・SNS機能に最適化されています。 Connect REST API 開発者ガイド Analytics REST API CRM Analytics(旧Tableau CRM)のデータセット、ダッシュボード、レンズの操作に使用します。 Analytics REST API 開発者ガイド User Interface API Salesforceの標準レイアウトや入力規則を外部UIで再現するための情報を取得します。一貫性のあるユーザー体験を外部で構築する際に必須です。 User Interface API 概要 Tooling API 開発ツールの作成やテストの実行、デバッグなど、開発工程の自動化に使用されます。メタデータの一部をより細かく、高速に操作するのに適しています。 Tooling API 開発者ガイド ⑤ リアルタイム・イベント駆動
データの変更をトリガーにして、外部へプッシュ通知を送る最新の通信方式です。
API 参照名 特徴・用途 公式ヘルプ Pub/Sub API開発者ガイド gRPCベースの高効率なAPI。変更データキャプチャ(CDC)やプラットフォームイベントの配信に使用され、超低遅延なシステム間同期を実現します。HTTP/2通信を利用し、双方向のストリーミングが可能です。 Pub/Sub API 開発者ガイド -
APIの料金(ライセンスやリクエスト料金)
SalesforceのAPI利用に対して料金で押さえておくべきポイントは2つです。それは「ライセンス費用」と、「ガバナ制限(リクエスト制限)」です。API連携のために必要なコストは、2023年以降にAPI専用の無料ライセンスが登場したことで、コストが押さえられるようになっています。APIによる構築を検討している人は、しっかりここを理解しておきましょう。
①API連携に使えるアカウント(統合ユーザー)は「5枠まで無料」
かつては、外部システム連携用にフルライセンスを1つ使う必要がありましたが、API連携に特化した専用ライセンス(統合ユーザー)が現在は提供されています。契約プランによりますが、統合ユーザーライセンスは5ユーザー分無料で利用可能です。対象はEnterprise、Unlimited、Performanceエディションです。
このAPI連携に使える統合ユーザーは、あくまでもAPI連携といった構築に使えるアカウントのため、通常のアカウントのようにブラウザによるUIの操作はできません。
6つ目以降のライセンスは比較的に安価で購入できます。そのため、開発用途ごとにライセンスを分けて、セキュリティや監査面で管理しやすいようにするのがおすすめです。
公式ヘルプ:Salesforce Integration ライセンスの割り当て
② 「リクエスト数」による制限(ガバナ制限)
SalesforceのAPIに「1リクエストごとに〇円」といった従量課金はありません。その代わり、24時間あたりに実行できるリクエストの総数に上限が設けられています。
項目 内容・詳細 制限の決まり方 組織のエディション(Enterprise, Unlimitedなど)や、保有しているユーザーライセンス数によって合計枠が決まります。 超過した場合 一時的に制限に達すると、API経由のアクセスがエラーとなり連携が停止します。これによりデータの同期や外部システムからの操作ができなくなるため注意が必要です。 追加パッケージ 頻繁に制限に達する場合は「APIリクエストアドオン」を購入することで、1日あたりの上限枠を増やすことが可能です。 -
API連携による業務効率化の事例3選
事例:基幹システムとSalesforceの「完全自動」データ同期
多くの企業では、基幹システムの売上データとSalesforceの顧客情報を手作業で突き合わせる作業に膨大な時間を費やしています。この事例では、APIを活用し、「人間が一切操作しないデータ同期」を実現しています。
業務効率化の仕組み
Salesforceへデータを一括登録するための「自動実行用の指示書」を作成することで、以下のルーチンワークを自動化します。
- 夜間の自動実行スケジュール:「何時になったら、どのデータを取り込むか」を事前に定義。深夜に自動で処理が完了するため、翌朝には最新データが揃っています。
- 項目マッピングの自動化:外部システムの項目名とSalesforceの項目名の紐付けを固定。「どの列をどこにコピーするか」を毎回考える必要がなくなります。
- 重複を防ぐスマートな登録:既存データの上書きと新規作成を同時に行います。二重登録のミスを防ぎ、常に正確な情報を維持します。
導入効果
- ✔ 更新が行われない朝時間にデータを反映
- ✔ 数万件のデータ加工を行った上での手動インポート作業の解放
- ✔ データの信頼性向上
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API連携の実装手順
Salesforce APIを利用するためには、単に「つなぐ」だけでなく、セキュリティを担保した「正しい手順」を踏むことが不可欠です。ここでは、現場で推奨される標準的な3ステップを解説します。
ステップ① 統合ユーザー(Integration User)の作成と権限セット
まず、外部システムがSalesforceにアクセスするためのユーザー(アカウント)を作成します。「設定>ユーザー」から「新規ユーザー」を追加します。

新規ユーザーの入力画面で、ライセンスは「Salesforce Integration」をプロファイルは「Salesforce API Only System Integrations」を選択します。
ユーザーを作成したら、API連携に必要なオブジェクト(例:商談、取引先)へのアクセス権を権限セットで付与します。権限付与はAPI連携に必要な最小権限にとどめましょう。
ステップ② 接続アプリケーションの設定(OAuth 2.0認証)
次に、Salesforce側で外部システムからのAPI接続を許可する設定を行います。接続アプリの新規作成は「設定 > 外部クライアントアプリケーションマネージャー」 から作成します。
外部クライアントアプリケーション名は任意で、取引先責任者メールは自分のメールアドレスを入力しましょう。

同じ画面からスクロールした「API(OAuth設定の有効化)」でOAuthのコールバックURLやスコープの設定を行います。OAuthでは「クライアントログイン情報フローを有効化」にチェックした上で「Proof Key for Code Exchange(PKCE)拡張を要求」のチェックは外して作成します。
保存後、「コンシューマー鍵(Client ID)」と「コンシューマー秘密(Client Secret)」が発行されます。
ステップ③ コールしてみる(疎通確認とリミットチェック)
設定が完了したら、実際に外部ツール(PostmanやcURLなど)を使ってAPIを呼び出してみます。ここでは「現在の組織のリソース状況」を確認してみます。
【検証リクエスト例】
HTTP
GET /services/data/v60.0/limits
このエンドポイントでは、APIリクエスト残りやBulk APIの処理枠といった値が返ってきます。今後もAPI連携をする場合に必要なエンドポイントになるので覚えておきましょう。
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API運用上の注意点
Salesforce APIのセキュリティは「認証」だけでなく「認可」と「アクセス制限」の組み合わせで担保します。
① セキュリティの鉄則
- IP制限(ホワイトリスト化)の徹底
- 外部システムの接続元IPアドレスを特定し、Salesforce側で許可されたIP以外からのアクセスを遮断します。
- 設定場所: [プロファイル] または [権限セット] の「ログインIP範囲」で設定することで、統合ユーザーのアクセスを特定のサーバーのみに限定できます。
- 最小権限の原則(PoLP)
- 統合ユーザーには「全データ参照」などの強力な権限を与えず、連携に必要なオブジェクトや項目(フィールド)だけに絞った権限を付与してください。
- 1連携=1統合ユーザーの原則
- 「5ライセンス無料」のメリットを最大限活かし、連携サービスごとに専用のユーザーを用意します。これにより、万が一特定のシステムでトラブルや情報流出の疑いが生じた際、そのアカウントだけを即座に無効化できるため、二次被害を防げます。
② 運用上の注意点:ガバナ制限とバージョニング
API連携を「止めない」ために、設計段階で考慮すべき運用ポイントです。
- APIリクエスト数の監視
- 24時間のリクエスト上限に近づくと、Salesforceから通知を飛ばす設定が可能です。また、バッチ処理(Bulk API)を利用してリクエスト回数を節約する設計は、運用コストの削減にも繋がります。
- APIバージョンの廃止(サンセット)への対応
- Salesforce APIにはバージョン(例:v60.0)があり、古いバージョンは約3年で廃止(サンセット)されます。
- 対策: 定期的に使用中のAPIバージョンを確認し、最新バージョンへ更新するメンテナンス計画を立てておきましょう。
- 接続アプリのシークレット管理
- 「コンシューマー鍵(Client ID)」や「秘密(Client Secret)」は、ソースコード内に直接書き込まず、外部システムの環境変数やキー管理サービス(AWS Secrets Manager等)で安全に管理してください。
③ 異常検知と監査ログの活用
「何かあったとき」にすぐ気づき、原因を特定できる状態を作ります。
- ログイン履歴の確認
- 統合ユーザーが「いつ」「どこから(IP)」ログインに成功・失敗したかを定期的にチェックします。異常なログイン試行を早期に発見するために有効です。
- セットアップ監査ログ
- API連携の設定(接続アプリケーションの変更など)が誰によって行われたかを記録し、意図しない設定変更を監視します。
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私たちが解決できるお悩み- 「社内の基幹システムと商談データをリアルタイムで同期させたい」
- 「複数の外部ツールと連携しているが、API制限でエラーが頻発して困っている」
- 「セキュリティ要件が厳しく、統合ユーザーの設定や権限管理をプロに任せたい」
- 「API連携にかかる工数を削減し、本業のビジネスロジック開発に集中したい」
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まとめ
APIはSalesforceの真価を引き出すハブです。「料金」の仕組みを正しく理解し、無料枠を最大限活用して、セキュアな「連携」を実現しましょう。